酢酸トコフェロールは、いかにも化学成分といった印象の名前ですが、私達の日頃のスキンケアにおいては意外にも身近な成分といえます。育毛剤にも多く含まれているこの成分は、どういった特徴をもつのでしょうか?
酢酸トコフェロールとは
酢酸トコフェロールは、ビタミンE(トコフェロール)に酢酸を化合させたものであり、ビタミンE誘導体とも呼ばれる成分です。黄色の液体で、油分に溶けやすいのが特徴です。ベビーオイルをはじめとするスキンケア商品のほか、ビタミンE欠乏症や末梢循環障害の治療に用いられている成分です。
ビタミンEには、血流促進作用に加え強い抗酸化作用があることから、肌にある活性酸素を抑えるだけでなく血液に含まれる脂質の酸化を防いで、身体全体へのアンチエイジング効果が期待できます。
育毛剤としての効果
抗酸化作用による頭皮のアンチエイジング対策のほか、フケやかゆみを防いで頭皮を綺麗に保つ効果があります。紫外線や活性酸素などによるダメージは、顔だけでなく頭皮にも影響を及ぼします。
酢酸トコフェロールは、頭皮の老化を防ぎながら血行を促進する効果が期待できます。ビタミンEは、血液が余分な脂肪分によってドロドロになるのを防ぐ効果もあり、血液をサラサラにして栄養分を毛乳頭まで送り込みます。
さらに、この酸化防止効果は頭皮への効果に限らず、育毛剤そのものの酸化を防止する役割を担っていることが多いです。油分や天然由来成分は、副作用や肌への負担が少なくて済む一方で、酸化が進みやすいという難点があります。そのため、酸化をおさえる成分が必要となります。
成分の注意点
医薬品として酢酸トコフェロールを使用する場合、下痢や吐き気など胃腸の不調を訴えるケースがあるようですが、塗布する用途においては副作用の心配は少ないと言えるでしょう。
まとめ
酢酸トコフェロールは、育毛ケアに有効な成分であると同時に育毛剤そのものの酸化を抑制する、2種類の働きを行う成分です。「酸化防止剤」と言うと、肌には良くないイメージがありますが、酢酸トコフェロールは肌にとても嬉しい成分であるため、避けなくてもよい成分と言えます。
他の成分と合わせて、効果的に頭皮のアンチエイジング対策が行えるといいかもしれませんね。